Strawberry Thief いちご泥棒

ウィリアム・モリスの数多いデザインの中でも、ひときわ不動の人気を誇るデザインのひとつが『いちご泥棒』です。

いちご泥棒のデザインは、園芸家たちの日常の暮らしの中にある小さな悩みからインスピレーションを得ています。モリスはケルムスコット・マナーでいちごを育てようとしましたが、食いしん坊の鳥たちに食べられてしまいます。モリスの手記にも記述されていますが、本当は種類の異なる鳥だったのですが、モリスはこの鳥を愛らしいツグミに替えてデザインしました。

いちご泥棒の生地は、インディゴ抜染技法で制作されています。まずインディゴに染めた生地のデザイン部分の色を抜き、さらに同じ工程を今度は赤、緑、黄色でプリントするという非常に高度なプリント技法でした。その結果生み出された色はとても豊かで生き生きとしていましたが、プリント工程全体の完了には数日を要したと言われています。

このアイコニックなデザインは、オリジナルのハンドプリントの雰囲気を残した微妙な質感のコットン100%のファブリックとして、2011年、モリス商会創設150周年記念Morris Archive Collection において再生産、復刻されました。

色展開は、オリジナルのインディゴ、そしてケルムスコット・マナーにある古い壁掛けをイメージした色褪せたブルーなどの5色となっています。

いちご泥棒の色展開・生地情報はこちら


MORRIS&Co.モリス商会とSandersonサンダーソン社について

「MORRIS&Co.」(モリス商会)は、Sanderson(英国サンダーソン社)により商標登録され、その製品である生地と壁紙が生産されています。Sandersonのモリス関連の商品には、MORRIS&Co.のトレードマークが記され、ウィリアム・モリスおよびモリス商会のデザインの真正版(正統な後継品)、およびその忠実な解釈版ということが保証されています。

Sanderson社は 英国王室御用達の信頼と格式を持つインテリア・ファブリックと壁紙を取り扱う歴史深い企業で、下記の経緯によりMORRIS&Co.を扱うに至ります。
モリス商会が破産した1940年、モリス商会の壁紙の生産を請け負っていたことからSanderson社はMORRIS&Co.の商標登録と壁紙部門を全て買い取ります。それには壁紙の版木の他、歴史的参考資料、プリント製造日誌などが含まれており、これによりSanderson社はモリスのデザインの大部分を引き継ぐことになりました。現在でも、使用可能な版木によるハンドブロック・プリントの壁紙は、特注扱いで生産され続けています。

Sanderson社は、1950年代より壁紙の機械プリントを開始、1964年より壁紙の製造に加え、それらのデザインをファブリックにも用いて製造しています。ファブリックと壁紙は、当時からのオリジナルを機械製造化したものが中心ですが、アーカイヴに保管されているモリスのデザイン帖やハンドプリントの原版、また、アーツ&クラフツのデザイナーのものなどからもデザインを掘り起こし、配色と素材を現代の市場に合うようにアレンジしたものも揃います。

ウィリアム・モリスは、ヴィクトリア&アルバート美術館とも大変深い関係がありました。
モリスはヴィクトリア&アルバート美術館の創設者の一人であり、美術館のダイニング・ルームの装飾を担当したことでも知られています。そのため、生前から、また没後はモリス商会を引き継いだSanderson社を通し、モリスの作品やデザイン画などが美術館に寄贈されています。

「いちご泥棒」のデザインは、2011年サンダーソン社での取扱いが解禁となり、モリス商会創立150周年の記念すべきコレクション Morris Archive Collection に満を持して収録されました。

コメントは受け付けていません。